表題番号:1998A-502 日付:2002/02/25
研究課題数理ゲーム理論の基礎的研究とその応用
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学部 教授 瀧澤 武信
研究成果概要
 1970年代にCalifornia大学Berkeley校のElwyn Berlekamp教授、英国Cambridge大学のJohn Conway教授、カナダCalgary大学のRichard Guy教授らにより確立された,組合せ数学の一分野である数理ゲーム理論について、基礎理論の研究とその応用としての数理碁の最終盤における「コウ」が起こりうる局面の事例研究を行った。
 具体的には、数理碁の最終盤において入口の幅2、内部の空点6の特別な形について数理ゲーム的な手法を用いて詳しく分析した。サーモグラフを用いる前段階の分析までについては、1999年3月発行の「教養諸学研究」106号に発表した。サーモグラフを用いる分析部分については、1999年6月に行われる「ゲーム情報学研究会」で発表する予定である。また、この形はRogue's Positionという数理ゲーム理論で興味あるものである。なお、一般の疑似ループを含む部分ゲームにおけるサーモグラフの分析の研究についてはまだ十分な研究成果が得られていないが、今回の成果を踏まえて今後も研究を行いたい。
 一般に「コウ」が起こりうる局面の分析は、それが起こらないものと比べ複雑になるが、KoMasterという概念を用いると、ある程度分かりやすくなる。この概念についてもサーモグラフを用いた分析と組み合わせて研究した。
 DomineeringやAmazonといった数理ゲームについては文献の収集を始めた段階でありまだ新たな成果は出ていないが、今回の特定課題研究助成により研究の端緒が得られたので、今後も継続的に研究を行いたい。なお、数理碁の分析、その他のゲームの研究動向については今回の研究費による海外出張(研究打ち合せ)におけるBerlekamp教授とその研究グループとの討論を通じて検討、情報収集等を行うことができた。