表題番号:1998A-182 日付:2002/02/25
研究課題五胡十六国時代の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 本庄高等学院 教諭 三崎 良章
研究成果概要
 本研究者はこれまで五胡十六国時代について、官制・民族意識・国際交渉等のさまざまな角度から検討を加え、個々の問題について研究成果を発表してきた。本研究ではその上に立って、この時代を総体として捉え、全体像を提示することを意図して研究を進めた。先ず、これまで世界各地で行なわれてきた五胡十六国時代研究の成果が、個々の研究者に必ずしも共有されていないという現状があるため、日本・中国・韓国・欧米諸国等の研究を網羅した文献の収集と文献目録データベースの作成を行なった。続いてそれに基づいて、日本・中国・その他の地域における五胡十六国時代研究の研究史を検討した。
 そこでは特に中国において、各研究者が独自の関心に基づいて研究を行なっており、例えば前涼・後涼・南涼・北涼・西涼の五涼研究と前燕・西燕・後燕・南燕・北燕の諸燕国研究が相互に関連されずに為されているなどの問題点、また五胡十六国時代研究のなかでも、各政権の民族構成、人口の移動等の問題についての研究の欠如を明らかにした。その上で『晋書』・『魏書』・『資治通鑑』や『十六国春秋』佚文などの関連史料から、人口の移動に関する記録を抽出してデータベースを作成し、さらにその移動に関与する政権、民族、集団等の特定、その結果としての各国・各地域の民族構成の解明、それがもたらす社会の変動の研究等を行なった。
 現在、整理した資料をもとに、論考をまとめつつあり、その成果は1999年度に論文として発表する予定である。