表題番号:1998A-161 日付:2002/02/25
研究課題困難課題克服に対する課題興味の効果~動機づけ研究の統合化に向けて~
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学部 教授 青柳 肇
研究成果概要
 本研究は、従来個々独立に検討されてきた動機づけ理論を統合するための一環として行なわれたものである。Seligman(1990)の学習性無力感の概念とDeci(1980)のよる興味といった内発的動機づけのそれとは、まったく異なる視点で検討されてきた。本研究では、課題への興味や一般的な興味度の高さが困難課題の遂行や、後の動機づけに対してもつ影響を検討した。大学生を被験者として、一般的興味度を測定した後、予備的な試行として言語探索課題を行なわせ、その課題への興味度を測定した。その後、本試行の課題を与える。本試行では、被験者を2群に分けた。S群は全問解答可能な問題を、U群には半数が解答不可能な問題を与えた。課題遂行後、課題の興味度、主観的な成功感、課題の重要度、課題の成功・失敗の原因帰属、再挑戦の意欲を求めた。パス解析を用いた分析結果は、以下の通りであった。S群では、課題に関する興味や一般的興味の高さが課題の重要度や遂行に対して影響を持ち、課題の遂行から努力感や成功感、再挑戦への意欲への影響が見られた。U群は、課題への興味の高さやの要因は個別に再挑戦への意欲と関係し、成功感、重要度、など課題遂行からの影響は見られなかった。