表題番号:1998A-132 日付:2014/03/20
研究課題情報源符号化と統計的モデル化の基礎理論
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 助手 後藤 正幸
研究成果概要
 本研究では、1980年代から議論が活発になってきた統計的モデル化と情報源符号化の問題を統一的に扱い、その基礎理論の構築を目的としている。その際、ベイズ統計理論の枠組を用い、広いクラスの確率モデル族に対して成立する本質的な性質を議論した。
 まず、確率分布を連続パラメータで規定するパラメトリックモデル族に対し、ある正則条件のもとで、事後確率密度は漸近的に正規分布に収束する事実を精密化した。この事後確率密度の漸近正規性は以前から議論がなされていたが、密度の一様収束などより強い結果を導いている。さらに、この結果を用い、統計的モデル選択の一致性、誤り率の上界の評価、ベイズ符号の符号長の漸近評価を行なった。この結果、ベイズ統計に基づく統計的モデル化と情報源符号化の性能の漸近的評価が可能となり、一応の成果を得ることができた。
 さらに、最近提案された拡張確率的コンプレキシティ(ESC)においても、同様の漸近正規性を導き、ESCの漸近式を導出した。これは、確率モデルの良さを様々な損失関数で測ろうとする基準であり、その一般化の中にも符号化と本質的に同じ性質を見い出すことができる。
 以上のように、本研究は統計的モデル化、情報源符号化を統一的視点から整理し、本質的な性質を議論することで一般的な評価を行ない、その成果を得ることができた。