表題番号:1998A-124 日付:2004/11/17
研究課題調和平均曲率に依存した曲面の収縮問題の解析及びその数値実験に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 助手 穴田 浩一
研究成果概要
曲面の収縮問題とは、ある与えられた空間上の曲面がその曲率に依存した速度を持って収縮運動を行うときのその曲面の振る舞いなどを考える問題である。例えば、結晶成長などの界面の動きなどを数学的に記述した際に現れるもので、この問題はそれらを数学的に一般化した形になっている。
 本研究の主な目的は、この特に、調和平均曲率のα乗に依存した速度で収縮する曲面の振る舞いを微分方程式を用いて解析し、さらにそれを差分化した上でコンピュータを用いて数値実験を行うことである。このような問題を微分方程式を用いて解析を行う利点の一つとして、収縮する曲面の初期の状態に対して適当な条件を与えたときの振る舞いを理論的に調べるために便利である、ということが挙げられる。さらにこれをそのまま差分化することでコンピュータを用いた数値実験を行うことが出来ることも大きな利点の一つである。
 本研究は、昨年度採択された特定課題「超曲面の収縮問題の偏微分方程式によるアプローチに関する研究(課題番号1997A-145)」で得られた非自明自己相似解に関する成果に引き続いて、本年度は自己相似解の安定性に関する成果を上げることが出来た。具体的に述べると、ひとつは自明解(球面)はα>1/2のとき安定であることを証明した。さらに、自己相似解の分岐について、分岐点付近の具体的な分岐図を理論的に提示したうえで、数値実験を行い分岐図を与えた。これらの成果はいくつかの研究会などで発表した上でそれらをまとめ論文として投稿する予定である。(具体的には研究成果発表に掲載した)