表題番号:1998A-123 日付:2002/02/25
研究課題個人差を考慮した感性品質の評価方法に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 助教授 棟近 雅彦
研究成果概要
 感性品質とは,人間のイメージによって計測される品質である.自動車を例にとれば,居住性がよい,走り感がよい,高級感があるなどの物理的な計測では得ることのできない消費者の欲求である.感性品質のよい製品を企画,開発するためには,これまでの機能,性能を重視した設計方法とは異なる,新たな技法が必要とされる.特に,感性品質を設計に反映するためには,それを物理特性に変換する必要がある.
 従来,感性品質の評価方法についてはいくつかの提案がなされているが,感性は個人差が大きいのが一般的であるにもかかわらず,個人差を無視して平均値を求める分析が行われている,という問題点が存在する.これは,個人差にはどのようなものがあるか,それをどのように取り扱えばよいかが解明されていないことに起因する.本研究では,どのような個人差があるかを明確にし,感性品質と商品の物理特性との関係を把握する方法を提案することを目的とした.
 本研究では,テニスラケット,ゴルフクラブ,釣り具,蒲鉾,自動車などの商品を取り上げ,実際にアンケート調査を行った.調査結果から,個人差には,対象の好き嫌いに関する嗜好の個人差,評価項目の感受性の違いに関する弁別の個人差,さらに嗜好と評価項目の関係の違いに関する項目の個人差があることを明らかにした.
 次に主成分分析とクラスター分析を利用することにより先の個人差によってパネラーを分類し,分類されたグループごとにグラフィカルモデリングを適用して,感性品質と商品の物理特性を関連づける方法を提案した.この方法により,個人差を考慮しながら商品設計のための情報を得ることが可能となる.この方法を,実際の新製品開発に適用することが今後の課題である.