表題番号:1998A-122 日付:2002/02/25
研究課題変分的アプローチによるハミルトン系および非線型楕円形方程式の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 助教授 田中 和永
研究成果概要
 変分的手法により非線形微分方程式の解の存在問題の研究を行った。特に本年度は(i)2体問題型のハミルトン型に対する非有界軌道の存在、(ii)2体問題型のハミルトン型に対する周期軌道の存在と関連するnon-compact 多様体上の閉測地線の存在(iii)Moser-Trudinger 型の不等式の最良指数についての研究を行った。
(i) ハミルトン型に関して2体問題型のポテンシャル〈I〉V(q) 〈/I〉~-1/|〈I〉q 〈/I〉|〈SUP〉α〈/SUP〉(α>0)に対して無限から来て無限に飛びさる軌道の変分的な構成を考え、与えられた〈I〉H〈/I〉>0をtotal energy としてもち、さらに与えられた入射角、出射角をもつ軌道の存在を空間次元〈I〉N〈/I〉に関する制限なしでstrong force 条件(α>2)の下で示した。ここで空間次元が2のときは回転数を有効に利用することができ比較的容易に証明はなされるが、〈I〉N〈/I〉≧3の場合は異なりR〈SUP〉N〈/SUP〉\{0}上のループ空間のtopology に関する考察が必要不可欠となることに注意して頂きたい。なお〈I〉H〈/I〉=0のときは古典力学における放流軌道に対応し、非常に興味ある問題であるが、その存在は今後の課題としたい。
(ii) またハミルトン系の周期解に関しても2体問題型ポテンシャル〈I〉V(q)〈/I〉~~-1/|〈I〉q 〈/I〉|〈SUP〉α〈/SUP〉を考え、α=2の場合を扱った。α=2の場合はいわゆるstrong force とweak force の境界の場合でありprescribed energy problem は今までほとんど研究されていない。Total energy が0の周期解の存在を特に考え、その存在を示した。また関連する問題としてnon-compact Riemman 多様体(〈I〉S〈SUP〉n〈/SUP〉〈/I〉×R、〈I〉g〈/I〉)上の閉測地線の存在を示した。
(iii) 楕円形型方程式に関してはMoser-Trudinger 型の不等式の最良指数について研究を行い、Ogawa, ozawa により導入されたスケール不変なMoser-Trudinger 型の不等式は有界領域の場合と異なり最良指数を達成しないことを示した。