表題番号:1998A-113 日付:2002/02/25
研究課題変動為替レート制下における国内均衡および対外均衡の達成と財政政策ならびに金融政策の割り当てに関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学部 助教授 横山 将義
研究成果概要
 本研究では、変動為替レート制下において、国内均衡(完全雇用と物価の安定)と対外均衡(経常収支の均衡ないし経常収支の目標値の達成)を同時に実現するために、財政政策と金融政策をいかにして割り当てるべきか、を体系的に整理することが目的であった。
 この研究を通して、おおむね次のような結論を得た。
(1) 資本移動性が高い場合、金融政策を為替レート調整に用い、その調整を通じて国内均衡を実現するとともに、財政政策を対外均衡に割り当てることが有効である。
(2) 資本移動性が低い場合、財政政策を国内均衡に割り当て、金融政策を為替レート調整に用い、その調整を通じて対外均衡を実現することが有効である。
 日本経済に対しては、①均衡為替レート(貿易財の物価指数による購買力平価)を目指して金融政策を発動し、経常収支調整策として財政政策を発動することが望ましい、②対外均衡は完全雇用と購買力平価為替レートのもとでの経常収支の水準を意味し、経常黒字を循環的な部分と趨勢的な部分に区別することができれば、循環的な部分の削減を図るべきである、③特に財政政策について、拡張的な財政政策は財政赤字を拡大させてしまうという観点から、財政再建と規制緩和を同時一体に推進することが必要である、というインプリケーションを得た。
 本研究の成果は、
「変動為替レート制下の内外均衡調整と財政・金融政策の割り当て」『早稲田商学』(早稲田商学同攻会)第379号、1998年12月、pp. 111-136
において明らかにした。また、本研究との関連において、先に発表した
「貿易黒字の原因とその調整政策の検討」『早稲田商学』(早稲田商学同攻会)第377号、1998年6月、pp.111-134
もあわせて参照されたい。