表題番号:1998A-110 日付:2002/02/25
研究課題文科系学生にとって高度情報社会で求められるリテラシーと外国語(英語)教育
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学部 助教授 森田 彰
研究成果概要
 本研究は、いわゆる理科系学生に行なわれる情報処理教育、そこで修得される「情報化社会に適応したリテラシー」と文科系の学生の履修すべき項目(モジュール)やそれによって修得されるべきリテラシーとは、少なからぬ相違があるとの認識から出発した。
 そして、現実の大学における教育環境の中で、外国語教育がどの側面で、そのリテラシーの教育に適当であるかどうか、またその事由について検討した。
 研究の過程で、文科系学生は、ネットワークをコミュニケーションのツールとして利用していて、ネットワークの構造や在り方そのものに対する興味は極めて希薄であることがはっきりした。つまり、文科系学生にとって求められるリテラシーに関するキーワードは、「コミュニケーション」となる。その意味で、従来のコミュニケーション理論や、その基盤となった言語学上の成果、理論が有効であり、文科系学生が情報化社会、ネットワーク社会で修得すべき能力の養成に、それら理論を応用した言語教育が相当程度有効であることが分かった。さらに、
(1)中学、高校の外国語教育では既にコミュニケーションを重視した指導要領への改訂があり、さらに大学でも全体として方向性を同じくするものが増加していること。
(2)外国語は日本語の場合より、言語そのものを客観視できること。と言った点で、外国語教育は有効性を増すと言える。
 なお、1998年度に入って、中学、高等学校で行なわれる「情報科」の授業内容に関する検討が盛んになっている。これを踏まえ、大学での外国語教育が担当するリテラシー教育のあり方、特に履修するモジュールについては再検討が必要となろう。