表題番号:1998A-108 日付:2002/05/10
研究課題中国の流動人口と法的規制
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学部 助教授 宇野 和夫
研究成果概要
 中国では、都市の改革が本格化した1985年ごろより「流動人口」と称される農村からの出稼ぎ労働者の大都市への流入が始まった。94年ごろその数は全国で約8000万人に達し、北京や上海などの大都市では流動人口の引き起こす治安問題や都市環境問題などが深刻化した。流動人口に対する管理を一段と強化するため、「北京市の外地来京人員戸籍管理規定」などの多くの条例が公布された。巨大都市では戸籍管理により、流動人口の「暫住」は認めるが、「常住」は認めない政策をとっている。この結果、大都市では①旧住民(都市戸籍を有する「常住人口」)と②原籍に戻ることを前提にした新住民(「暫住人口」)の2種類が存在することになり、後者が様々な面で差別的地位に置かれている。
 今回の研究では、まず中国において流動人口の法的規制に関する文献資料の収集にあたった。そして資料整理の過程で、流動人口問題発生の要因、各地の実態、法的規制の経過と問題点などを解明した。今回の研究成果は社団法人中国研究所の機関誌「中国研究月報」に発表する予定である。