表題番号:1998A-106 日付:2002/02/25
研究課題コーポレート・ガバナンス(企業統治)の総合的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学部 教授 厚東 偉介
研究成果概要
 今回の申請の中心的な研究テーマである企業の統治機関としての取締役会・監査役会と執行担当者との関連を巡って研究を進めた。
 このテーマについては時機を得ていたのだろう。いろいろな問題があちこち提起された。統治機関の改善策として外部取締役や外部監査役の必要性も議論されている。そして、ソニーなどに典型的に見られるように取締役と執行担当者とが分離され、この形態が日本企業の取締役会の有効性と執行担当者の機敏さの確保などの理由から、いろいろな企業で取り入られるようになってきている。この限りでは形態上、アメリカの企業のそれに少し類似してきている。
 さらに持株会社の形態も認知されてきている。持株会社に支配される企業の統治と持株会社の統治をともに研究していかなければならないであろう。
 今後は特に、持株会社の有効な統治をめぐって研究して行く必要性が高い。なぜなら、戦前期においては、旧財閥の企業においては持株会社としての財閥本社に支配され、戦後の財閥解体によって、企業行動の自由が高められたという日本の歴史的経緯があるからである。現在の経済学者の議論ではこの歴史的意識は少ない。なぜなのか? ということも強く疑問に残る。この点もさらに深める必要があろう。