表題番号:1998A-105 日付:2002/02/25
研究課題アジア諸国の流通革命―後発国における近代的小売企業の生成と発展―
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学部 教授 川邊 信雄
研究成果概要
 1997年にアジア金融・経済危機が生じて、アジアの発展は阻害された感がある。しかしながら、それ以前に達成された経済発展は、多くの中間層を生み出した。彼らの都市化した生活様式は新しいニーズを生み出した。こうした変化に対応して、現在、アジア諸国において、新しい近代的な百貨店、スーパー、ディスカウント・ストア、そしてコンビニエンス・ストアなどの小売形態が発展し、まさに「流通革命」の時期を迎えているといえる。
 本研究では、タイ、マレーシア、シンガポール、台湾、韓国、そして中国といった国々における近代的小売企業の発展がなぜ、いかにして生じたのか考察することを目的としている。すでにコンビニエンス・ストアを中心にアジア諸国の流通革命の実態を分析した研究成果をいくつか発表している。そのため、今年度は、以下の2つの点を中心に研究活動を行った。第1は、アジア諸国では、流通機構が未発達のため、商品供給の問題が大きいことである。そのため、この問題をいかに解決しているのか、台湾において急速に発展をした7-Elevenの流通機能を担当している、捷盟行鎖股分有限公司の流通センターを訪問し、現地調査を行った。
 第2は、計画経済から市場経済へ移行している中国における小売企業の発展の問題である。これについては、上海に進出しているローソン、北京に進出しているイトーヨーカ堂を訪問し、現地調査を行った。
 今後は、これらの現地調査をふまえ、アジア諸国での供給システムの改革と、中国の流通近代化の問題を分析し、その研究成果を発表する予定である。