表題番号:1998A-081
日付:2002/02/25
研究課題Ferrisuriteの合成とその生成条件について
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 教育学部 | 教授 | 堤 貞夫 |
- 研究成果概要
- Suriteが八面体シ-トにAlを含むsmectite(beidellite)をホストとして、層間にcerussite様物質の介在する天然産の粘土無機複合体として記載された。しかし、その後、suriteを産出したという報告はなく、八面体シ-トにFeを含むsmectite(nontronite)をホストとする類縁のferrisuriteが発見されて報告されているにすぎない。suriteの層間物質はその後の研究でセル-サイト様物質ではなくhydrocerussite Pb3(CO3)2(OH)2様物質であることが分かったが、suriteの成因についてはその産出報告が他にないので未だに明らかでない。筆者らはこれまでsuriteの合成実験には成功しているので、本研究ではsurite類縁のferrisuriteを合成して天然に於けるsuriteの成因を明らかにすることを目的として研究を行っている。suriteの層間物質を薄い塩酸で処理すると層間物質が溶出して、残渣がsmectite(beidellite)の性質を示すことはsuriteを記載した当初から分かっていた。それ故に、suriteの合成は常にmontmorilloniteを出発物質として実験が行われ、数年前に漸くその合成に成功した。ferrisuriteはsuriteのFe類縁鉱物であるからsuriteと同様に酸処理を行えば、その残渣はnontronite Na0.3Fe23+(Si,Al)4 O10 (OH)2・nH2Oであることが推定される。実験に利用できるような良質のnontroniteの産出は国内はもとより外国でも希である。産出の報告のある新潟、佐野、湯河原の各産地から試料を採取し、これまでに組成鉱物の同定を終了しているが合成実験の出発物質としては試料量が不足である。今後、nontroniteの十分な試料量の確保に努めるとともにsaponiteをホストとするsuriteの合成を目指しているところである。