表題番号:1998A-043 日付:2002/02/25
研究課題森鴎外の作品研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学部 教授 佐々木 雅発
研究成果概要
 研究の目的として、森鴎外についてまだ論じていない時期の作品を選んで、テーマを設定して論ずるつもりであったが、初期のドイツ留学と日本人の主体性という問題は「文づかひ」論(「文づかひ―イイダの意地―」『講座森鴎外・第二巻・鴎外の作品』新曜社)にまとめたものの、中期の風俗誌的地誌的研究をからめた「雁」論は、いまだ未完である。ただし、それらの関係書目を蒐集し、時期や主題がきわめて近接した作品である夏目漱石「門」について「『門』評釈―一,二,三章をめぐって―」(「将●」10号)、「『門』評釈―四章をめぐって―」(「将●」11号)等を発表した。また晩年の歴史小説から史伝への文学理論上の問題は、夏目漱石や自然主義等、当時の文学者が自らの課題としてあげて追究したものであり、その全体への研究の一環として、漱石では「草枕」とその周辺の文学理論について執筆中であり、自然主義については白鳥の文学理論の変遷を「『五月幟』の系譜―白鳥の主軸―」(「文学研究科紀要」第44輯)、独歩のそれを「『窮死』前後―最後の独歩―」(「国文学研究」128集にまとめた。これらを総合して、鴎外の史伝の文学理論的、方法的特質について、論究するつもりである。