表題番号:1998A-004 日付:2002/02/25
研究課題1910~1920年代の中国近代思想史に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学部 教授 齊藤 泰治
研究成果概要
1998年度特定課題研究助成費個人研究として「1910~1920年代の中国近代思想史に関する研究」と題する研究課題で20万円の研究経費を申請し、19万円が認められた。研究計画書に書いたとおり、今回の研究経費申請に際しては、海外調査などは予定せず、図書資料費として、個人研究費だけでは不足すると考えられる分を申請した。今回の研究助成費は、すべて関連する書籍資料の購入に使用した。具体的にどのような形で私なりに成果をあげることができたかといえば、早稲田大学政治経済学部『教養諸学研究』第105号所収の「1915年から1919年にかけてのいくつかの論争(2)」において、従来その初期の論争に力点が置かれていた「問題と主義」論争について、周辺資料を利用しながら、なるべく全体像を把握しようとつとめた。とくにそれぞれの主張についてできるだけ本来の形で理解するようつとめたつもりである。もとより不十分な点はあるが、私は研究計画書に述べた研究計画の一部を実行できたと考えている。私は研究計画書において、中国近代思想史の研究はここ数年、「従来の枠組みでは捉えられない広がりがそれぞれの地域での研究において明らかになってきている」と述べたが、たとえば今回検討した論争にしても、資料的な面で従来にない広がりが生まれたのがこの1年であったといってよいのであり、1998年という時点でこの問題を改めて検討したことに一定の意味があるのではないか、と考えている。だが、今回は主として時期的な問題において、はなはだ限定的なものとなったと言わざるをえない。つまり、当初は1920年代までも射程内に入れたのであるが、実際には1919年までしか検討できず、1920年以降の研究については、課題として先送りする形となってしまったからである。したがって、1998年度の特定課題研究は私自身からすれば、研究計画の一部を実現したものであり、今後、継続して研究を行いたいと考えている