表題番号:1997C-005
日付:2002/02/25
研究課題世界の超高圧変成作用とテクトニクス―大陸成長過程・地球深部物質循環過程解明への新たなる挑戦―
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
---|---|---|---|
(代表者) | 教育学部 | 教授 | 小笠原 義秀 |
(連携研究者) | 教育学部 | 名誉教授 | 鞠子 正 |
(連携研究者) | 教育学部 | 教授 | 高木 秀雄 |
(連携研究者) | 教育学部 | 助手 | 安藤 生大 |
(連携研究者) | 理工学部 | 教授 | 内田 悦生 |
(連携研究者) | スタンフォード大学地球科学部 | 教授 | J.G.Liou |
(連携研究者) | スタンフォード大学地球科学部 | 教授 | W.G.Ernst |
(連携研究者) | 中国科学院 | 教授 | Cong Bolin |
(連携研究者) | 東京工業大学 | 教授 | 丸山 茂徳 |
- 研究成果概要
- 変成作用とは地球表層物質が地下深所へ運ばれ新たな条件下で安定な岩石に変わる過程である。長い間、変成作用は平均地殻最下部(30数km)までを範囲とする見方が一般的で、圧力は最大1Gpa程度を上限として考えられていた。しかし、1984年のイタリアアルプスの変成岩中からコース石が発見されたのを契機にその圧力スケールは大きく変更されることになった。その後、世界数箇所の同様の岩石からコース石の他、ダイアモンドも発見されるに及び、このような岩石形成過程は超高圧変成作用と呼ばれるようになった。超高圧変成岩の分布は大陸内部に存在する縫合部(かつての大陸が衝突合体した場合)に集中することが明らかにされ、その研究は単に変成岩形成過程にとどまらず、パンゲア分裂以前の大陸の成長過程を明らかにする上で、また地球深部に及ぶ物質循環を考える上でもきわめて重要な役割を果たすことがわかってきた。本研究ではこのような観点から、世界のこの分野の研究者を集めて超高圧変成作用の研究を飛躍的に促進することを目的として計画された。特に、日本の研究者グループは、世界の超高圧変成帯の中でもダイアモンドの産出量の多さや、7Gpaにも達すると見られる非常に高い圧力条件で注目を集めるカザフ共和国コチェタフ超高圧変成帯(5億3千万年前の大陸衝突帯)に焦点を当て、トータル2カ月に及び広域地質調査行い、また約8000個の岩石資料を採取し、引き続く岩石学的研究を展開した。その結果、これまで不明確であったカザフ共和国コチェタフ超高圧変成帯周辺の地質構造のほか、大陸衝突型の超高圧変成帯形成条件とその歴史的側面の詳細が明らかにされてきた。本研究でのおもな活動は下記のとおりである。①1997年6月:日本隊(丸山教授リーダ)による第1回コクチェタフ超高圧変成帯調査。②1997年7月~現在(更に継続中):変成岩岩石成因論的研究(早大・東工大グループ)。③1997年9月:超高圧変成作用とテクトニクスの国際ワークショップ(早大小笠原主催:詳細はアブストラクト集参照)。④1998年7月:日本隊(東工大・丸山教授リーダ)による第2回コクチェタフ超高圧変成帯調査。⑤1998年12月:超高圧変成作用とテクトニクスの国際ワークショップ(スタンフォード大・Liou教授主催)。⑥1998年12月~1999年2月:カザフ共和国科学アカデミーKasymov教授を早稲田大学に招聘し研究交換(小笠原:学術振興会プログラム)。⑦1999年3月:日本地質学会シンポジウム・コチェタフ超高圧変成帯研究の進展(早大・小笠原主催)。⑧国際誌「The Island Arc」(Blackwell社)にコチェタフ変成帯研究の特集号を企画(2000年の前半に出版予定)。