表題番号:1997B-038
日付:2002/02/25
研究課題「生きがいをめぐる社会政策」-高齢化時代に向けた生活意識と政策意識-
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 人間科学部 | 教授 | 濱口 晴彦 |
(連携研究者) | 人間科学部 | 教授 | 嵯峨座 晴夫 |
(連携研究者) | 人間科学部 | 教授 | 宮内 孝知 |
(連携研究者) | 文学部 | 教授 | 長田 攻一 |
(連携研究者) | 人間科学部 | 教授 | 店田 廣文 |
(連携研究者) | 人間科学部 | 教授 | 臼井 恒夫 |
(連携研究者) | 人間総合研究センター | 助手 | 渋谷 望 |
(連携研究者) | 人間科学部 | 助手 | 圓岡 偉男 |
(連携研究者) | 人間科学部 | 助手 | 木戸 功 |
- 研究成果概要
- 本研究は人間総合研究センターにおける流動化社会と生活の質プロジェクトとジョイントしながら遂行した。研究目的は、基礎となる調査研究において、(1)高齢者の扶養や家族のあり方などに関する生活意識を中心とした実態の把握(ミクロレベル)、(2)社会福祉や社会保障などのあり方に関する政策意識を中心とした実態の把握(マクロレベル)、(3)両者の関係の分析を通じた意識の整合性やねじれなどの確認(ミクロ―マクロ・リンク)といった研究プロセスを遂行した。その際、五つの研究班に作業を分担しながら行った。
(a) 国際比較研究の枠組みを検討する比較構想グループは、シンガポール、マレーシア、タイを中心に基礎資料の収集検討を行った。さらに比較の意味、ひいては調査の意味を再検討した。
(b) 国内の高齢者をめぐる社会政策の近年の変容を検討したグループは、高齢者の「参加」の多義性に焦点をあて、政策言説におけるその偏りを分析した。
(c) ミクロなレベルでの質的調査の方法論を検討したグループは、社会問題構築主義のアプローチから高齢者の「生活の質」研究に関する問題点を指摘した。
(d) 高齢者の生活満足度と「生活の質」の相関を検討したグループは、所沢の高齢者を対象にしてパネル調査リンクを試み、加齢による満足感の低下を検証した。
(e) 以上の四つのグループの知見を統括し、台湾における国際シンポジウムにおいて、日本の高齢者をめぐる社会政策の現状を報告し、アジアの高齢者に関する国際比較研究の枠組みを提示した。
以上の研究から、高齢者の「生活の質」研究にはミクロレベル(日常生活)においてもマクロレベル(政策)においても、自己決定の問題の考察がますます不可欠なものとなっていくことが明らかになった。国際比較研究においても、この観点からの比較が要請されており、今後の調査によりその理論化を進める予定である。