表題番号:1997B-020 日付:2002/02/25
研究課題超伝導交流機器に関する基礎研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 石山 敦士
(連携研究者) 理工学部 教授 小貫 天
(連携研究者) 理工学部 助教授 若尾 真治
(連携研究者) 理工学部 助手 金 錫範
研究成果概要
1. 交流用超伝導撚線導体の過渡安性評価
 銅複合化による安定性の向上効果について実験と三次元数値シミュレーションによる評価を行った。線径、マトリクス比、B-J特性(臨界磁界―臨界電流密度特性)がほぼ等しく、銅の配置のみ異なる3種類の線材と銅を含まない線材を素線とする3本撚線導体(合計4種類)を用意し、各通電電流値における最小クエンチエネルギー(素線1本をヒータにより強制的に常電導転移させ、その後3本撚線導体全体が常電導転移する最小のヒータ投入熱量)を評価基準として実験を行った。その結果、銅複合化により安定性が飛躍的に向上し、最小クエンチエネルギーとしては1~3桁の向上があった。銅複合化により、攪乱熱を有効に拡散できること、、常電導転移に伴う素線間電流再分配時のジュール発熱密度を抑えることができることなどを明らかにした。
2. 超伝導垂直円筒型リニア誘導モータの試作・試験
 モータの超電導化に当たっては、速度トルク特性などの回転機としての通常の動作特性とは別に、超伝導巻線の交流損失や巻線に加わる電磁力などに対しモータが安定に動作するよう設計・製作する必要がある。本研究は、超電導交流機器実現へ向けて、実運転環境下における超電導巻線の振舞を明確にするための検討を行うため、その対象機器として最適と考えた円筒型短一次リニア誘導モータの試作(97年度)・試験(98年度)を行った。動作試験では、始動トルク特性、二次導体(アルミ円筒体)駆動特性をはじめ、クエンチ(常電導転移)検出・保護装置の動作確認や、無効電力補償(力率改善)などについて検証実験が行われ良好な結果が得られた。今後、同試作機を用いて二次導体突入・脱出時の機械的攪乱の影響や交流損失低減についてさらに検討を進めていく予定である。