表題番号:1997B-014
日付:2002/02/25
研究課題社会的成熟過程の分析―30歳の現代的意味
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 文学部 | 教授 | 正岡 寛司 |
(連携研究者) | 文学部 | 教授 | 大久保孝治 |
(連携研究者) | 人間科学部 | 助教授 | 池岡義孝 |
(連携研究者) | 文学部 | 助手 | 加藤彰彦 |
- 研究成果概要
- 本研究は、青年たちがいかなる出来事を経験し、またいつの時点で「大人」になっていき、そして彼らが大人になるということにいかなる意味付与をしているかをライフコース分析を通して実証的に解明することを目的としている。まず1997年度には、本研究の代表者および研究分担者の研究グループがすでに8年間にわたって蓄積した大学卒業生のパネルデータを整備し、大学卒業後の6年間の離・転職行動と結婚の経験を確認した。「職業経歴研究」がすでに示している知見と同じく、本研究の大学卒業者でも初就職後5年のうちに約50%が離職を経験することが確かめられた。加えて、そうした離職行動は、初就職直前と直後の状態から十分に予測可能であること、なかでも就職直後における組織へのコミットメントが重要であることが明らかになった。大学卒業後数年のうちに行われた結婚についても、そのタイミングを確認するとともに、相対的に早く結婚する者の条件を探索的に明らかにした。つづいて1998年度には、30歳を目前にしている彼らを対象に追跡調査を実施した。当初の計画では対象者の卒業年度に応じて2年間にわたって調査を実施する予定であったが、予算などの理由によって調査デザインに変更を行い、1991年から93年までに卒業した者1142名を同時に対象にすることにした。調査は1999年10月に郵送で行い、556名から回答を得た(有効回収率49%)。調査票は構造化されたものを作成し、質問項目としては離転職の経験をはじめとする職業経歴の形成にかかわる変数、勤め先での就業状況、職場への適応状況、結婚と出産(親なり)の経験、生活の時間・空間の構造、心理的福利状態などを含めた。以前のパネル調査で使用した質問をできる限り採用し、以前のデータとの縦断分析が可能な変数を収集できる構成になっている。また、調査票末尾に欄を設け、30歳を迎える心境を自由に記述してもらうなどの工夫も加えた。現在、データの入力とクリーニングを終えて基礎的な分析を始めたところであり、その後の離転職や生殖家族の形成過程なども含めて、このデータを活かした分析を進めている。