表題番号:1997B-005 日付:2002/02/25
研究課題組織を粉砕・切離する手術機器の使用中に飛散する粉じんによる肝炎、エイズ等二次感染防止のための工学的対象に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 名古屋 俊士
(連携研究者) 理工学部 教授 佐々木 弘
研究成果概要
 手術は、最近の手術機器の進歩に伴いその内容も高度化、長時間化してきている。そこで実際に手術を行う手術の周辺では、手術機器の使用により発散する骨、組織片、血液に由来する粉じん等が飛散し、その吸入による医療従事者に対する、C型肝炎等の二次感染の危険も考えられる。そこで、手術中の粉じんの発生状況を把握することは、手術室内の環境管理を考える上で極めて重要なことである。また、手術時発散する骨、組織片に由来する曝露の防止や手術者の呼気の飛沫防止を目的として、手術用マスクを装着して手術を行っている。しかし、手術時に使用する手術用マスクの防じん性については、あまり研究されていないのが現状であると考える。そこで、手術時の曝露濃度及び環境濃度から考えて、手術時手術機器の使用により発生する粉じんが術者に対して直ちに影響を与えるとは考えにくいが、短時間高濃度については、その濃度から考えて、手術用マスクの正しい着用等の対策を行う必要があると考える。
 各種手術用マスクの防じん性の実験より明らかになった事。
1) 一般的な粉じん用マスクの粉じん抑制率は正しく装着していれば100%に近いともいわれており、このことから考えると手術用マスクの防じん性は非常に低いと考える。2)顔にあった手術用マスクを選定し、正しく装着する必要がある。
 従来の手術用マスクは、術者の呼気の飛沫防止の目的のために装着されてきたが、このような結果が出たことから、粘液感染などといった、エイズ、型及びC型肝炎などといった感染症の防止のためにも、手術用マスクの早期改善、術者の手術用マスクに対する意識の改革を行うべきであると考える。
 この成果を手術従事者に早急に徹底し、二次感染の防止に役立てたいと考える。