表題番号:1997A-566 日付:2006/03/25
研究課題ドライゲルコンバージョン法を用いたゼオライト分離膜の合成
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 助教授 松方 正彦
研究成果概要
乾燥状態のゲルを有機結晶化剤蒸気雰囲気下で結晶化させる方法(ドライゲルコンバージョン法)により、SiO2/Al2O3比=1000のMFI型ゼオライトの平均細孔径0.1μmの多孔質アルミナ平板への製膜を試みた。ゲル調製から熟成、支持体へのゲルのコーティング、結晶化に至るまで、多くの合成条件が生成物の物性に影響するため、それぞれの最適化を試みた。特に緻密な膜の合成に重要な条件は原料中のアルカリ濃度であった。アルカリ濃度Na2O/SiO2比=0.13-0.23の範囲で緻密な膜が得られた。アルカリ濃度が充分でない場合には、原料ゲルの加水分解が充分に起こらず、また高すぎる場合には加水分解が優先して起きるため、ゼオライト骨格の形成が起きないことがわかった。ベンゼン/n-ヘキサンの浸透気化分離試験を行なった。ピンホールがわずかでも存在すると全く選択性を示さなかったが、ピンホールフリーの膜では等モル混合物で5程度の分離係数を示した。無機ガス(ヘリウム、窒素、二酸化炭素、メタン)透過試験では、ピンホール濃度が減少するほど、無機ガス透過流束は大きな正の温度依存性を示した。また、各ガスの透過流束の差も大きくなる傾向にあった。以上の結果は、分離機能の発現にはピンポールの制御、すなわちゼオライト結晶粒界の制御が本質的に重要であることを示している。
 ゼオライト膜を工業的に用いるにはモジュール化が必須であり、それにはチューブ状支持体への製膜法の開発が必要である。そこで、上記で確立した合成条件を用いて、外径7㎜のチューブ状アルミナ多孔質支持体への製膜を試みた。チューブ表面への均一な製膜には、ゲルを支持体細孔中へ吸引・製膜することが必要であった。また、乾燥途中でゲルが重力あるいは毛管凝縮によって片寄らないよう、工夫した。こうして得られた膜を用いて、窒素/二酸化炭素混合物の透過試験を行なったところ、表面拡散の効果による選択性の発現を認めた。
研究成果の発表
投稿予定
Synthesis of MFI Zeolite Membrane and Its Separation Properties. Microporous and Mesoporous Materials, Elsevier.