表題番号:1997A-559 日付:2002/02/25
研究課題大規模地震に対する既存施設の補強方法に関する基礎研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 清宮 理
研究成果概要
兵庫県南部地震を契機に設計地震動の見直しがあり、既存の構造物では耐震性が十分に確保できない場合が生じ、この場合耐震補強を施す必要がある。今回沿岸構造物である杭式桟橋を対象に耐震補強の効果について数値計算により検討した。杭式桟橋は海底地盤に鋼管杭を打設し上部にコンクリート床板を設けた構造である。有限要素法による数値解析では鋼管杭をはり部材、海底地盤を平面ひずみ要素、コンクリート床板を固定要素に置換し、構成材料を材料非線形性を考慮した。入力地震動は兵庫県南部地震で取得された実測記録を用いた。この計算手法で地震時に被害を受けた神戸港にある桟橋の動的応答計算を実施し鋼管杭の軸力と曲げモーメントの断面力を計算した。この断面力から鋼管杭の座屈個所と有無を調べた。鋼管杭は海底面近くと軟弱層のある個所で座屈する結果となり、兵庫県南部地震での実際の鋼管杭の被害状況を再現できた。そこで耐震補強工法として鋼管杭のコンクリートを充填して合成鋼管とするケースと鋼管にブレス材を取り付けるケースの2種類を取り上げた。それぞれの工法で同じ手法で地震応答計算を実施し発生する断面力の照査を行った。この結果、補強工事を施す事により桟橋の個有振動数が高くなり、逆に構造物の応答が小さくなり鋼管杭の断面力が20-40%減少した。断面力の減少により鋼管杭が座屈しないことになり今回取り上げた補強工事が有効なことが判明した。
研究成果の発表
1998.3 土木学会25回関東支部技術研究発表会、杭式桟橋の振動解析と耐震性評価