表題番号:1997A-557 日付:2002/02/25
研究課題英語教科書の分析に基づく大学基本英語語彙の提案
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学部 専任講師 益子 真由美
研究成果概要
本研究は大学の基礎科目レベルの英文教科書を読解するために習得が必要な英単語を調べるために行なった。
 限られた時間と予算内で成果をあげるため、分析には、研究者の前任校である国際基督教大学で前述の目的を持った英語教育プログラムで使用されている読解用教科書を使用した。これは入力済みファイルが入手可能であったためである。
 E. Brillの開発したPart of speech taggerをUNIX (SunOS) 上で使用し、一定の処理を施したテキストファイルに品詞のタグを付ける。Taggerの処理能力が限られており、改良する時間も無かったため、タグ付けによる品詞の分類は同義語等の存在により不正確な面もあるが、大まかな状態は推測出来る。
 結果をごく簡略に述べると、頻度の非常に高かった単語はやはり冠詞や前置詞等の中学基本語彙に入るようなものであり、比較的頻度の高い単語も中学・高校で習得済みと考えられるものが多かった。また、これらの単語の大部分はネイティヴスピーカーにとっても日常的に頻繁に使用しているもの(例えば、Longman Dictionary of Contemporary EnglishでW1かS1とされている単語)である。ある程度頻度が下がると、扱っている題材に関連した専門用語や特殊な用語が多く見られる。
 これから言えることは、中高の英語教科書に登場する単語を修得していれば、題材・分野に応じて専門的な表現のみを覚えれば基本文献の読解は可能であるということである。この際、問題になると考えられるのは、難易度の高い単語もしくは専門用語の導入であろう。特定の専門分野の学生のみしかいないクラスと、異なった専門の学生のいるクラスでは、どの単語を教えるべきか自ずと違うであろう。また、どのような文脈で提示するかによって学生の習熟度の違いが生ずるかもしれない。この点に関しては今後十分考慮する必要があると考える。