表題番号:1997A-382 日付:2002/02/25
研究課題各国経済システム特性の比較研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) アジア太平洋研究センター 教授 眞野 芳樹
研究成果概要
経済活動の特性を見るとき、統計数字として表現される活動量として理解することも重要であるが、構造的な仕組みとして把握することも大切である。ことに、将来における経済活動の変化に焦点を当てるとすると、構造的な特徴を捉えておくことは、近未来にどのような変化がありうるかの示唆を与えることになる。このような視点から、数年間にわたって経済活動をシステム特性という観点から、いくつかの国の経済を分析してきた。この中でわかったことは、安定的な消費性向と不安定な加速度係数、最終需要構造の構成比率の違いに由来する寄与度の差異などであった。このような知見に立って、1997年度は、化石燃料への依存度について、英国、フランス、ドイツにおける産業特性を分析した。どの国に置いても、1980年代を境に化石燃料への依存度を下げる構造的変革を行っている。構造変革が強制されて依存度が下がったか、依存度が引き金になって構造変革が行われたか、そのどれでもないかは、今後の分析を待たねばならないけれども、事実として、構造変革と依存度削減が同時進行したことは間違いない。
 経済の構造的な活動力を維持しながら、化石燃料依存度を下げるためには産業構造の変革無しでは達成し得ないのではないだろうか。今日Co2削減や環境保全など、わが国が直面する産業構造的課題についても、英、仏、独の変革の経過は、多大な示唆を与えてくれると考えられる。
研究成果の発表
1998年3月 アジア太平洋研究センター・システム科学研究所紀要第29号「各国経済のダイナミックスについて」