表題番号:1997A-372
日付:2002/02/25
研究課題筋量およびその分布と筋力・パワー発揮能力に関する研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 人間科学部 | 専任講師 | 岡田 純一 |
- 研究成果概要
- 身体運動において、その運動で発揮される力を定量すること、そしてその発揮された力に貢献している要因を明らかにすることは、スポーツトレーニングおよび健康・体力づくりにおける運動プログラムを構築していく上で重要である。身体外部に発揮されている出力を担っている諸筋群の活動様相をとらえること、筋量を評価していくことで、適切に運動プログラムを作成していくための諸指標を明確にしていくことになろう。本研究は日常生活でも頻繁におこなわれている動作様式、且つトレーニング種目としても重要な動作を対象としてその力発揮に関わる身体の条件を検討していくことがねらいであった。そこで、スクワット動作(しゃがんで立ちあがる動作)中の筋活動様相を明かにすることを手始めにおこなった。この動作は初心者に対して行う際には、適切な姿勢を指導することが重要であり、補助具を使用することが実施上の安全性を高める上で一助となることが予想された。そこで、補助具の使用の有無がスクワット動作中の筋活動に及ぼす影響について実験をおこなった。男子学生10名を被験者とし、補助具の有無とスクワット運動時の膝関節伸展筋群(大腿直筋)および股関節伸展筋群(脊柱起立筋、大腿二頭筋、および大殿筋)の筋放電量(積分筋電図)および股関節の最大屈曲角度に関する検討をおこなった。その結果、股関節の屈曲角度は補助具使用時に3.5%減少していた(p<0.01).スクワット動作全体での積分筋電図では差が見られなかったが、動作を下降運動局面(Eccentrc; 求心性収縮局面)と上昇運動局面(Concentric; 求心性収縮局面)とに分割した場合、遠心性収縮局面の大殿筋および求心性収縮局面の大腿直筋において積分筋電図は有意に増大していた(p<0.05)。以上の結果から、補助具の使用によって動作中の体幹の前傾姿勢が抑制され、膝伸展筋群により大きな筋収縮を促す可能性が示唆された。この結果から筋量と出力の関係を検討していく上で対象とすべき筋の特定をすること、動作の規定を決定する上で重要な成果が得られた。今後も、筋量評価のためのプロトコルづくりを重ね、動作中の出力の定量化と合わせて検討を進めていく。
研究成果の発表:早稲田大学体育学研究紀要 Vol. 30, 1998.