表題番号:1997A-367 日付:2002/07/06
研究課題小型定置網漁業の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学部 教授 矢野 敬生
研究成果概要
本研究は(A)フィリピン・ビサヤ地方における地先小型定置網漁業の研究と(B)北陸能登半島内灘地方のブリ小型定置網漁業を中心として調査研究を行った。研究方法としては文化人類学の参与観察手法、社会学の調査票による村落悉皆調査法、民族学による聴き書調査法および歴史学による古文書研究等を併用した。このため、それぞれの地域で数次にわたるフィールドワークを実施した。
(A) に関しては沿岸地域における漁民の小型定置網漁の利用実態と、水産物の加工流通網に関して、東南アジア的特徴の一端(たとえばsuki関係やalsada関係等)を解明することができた。
(B) に関しては、日本型漁村の特質としてのムラとムラの占有的な漁場利用慣行に焦点を当てつつ、対象村落の社会構造と近隣村落との相互関係を歴史的な変動過程をふまえて究明した。
特に、(1)個人有の小型定置網と旧慣としての中型ムラ持ち網の漁場利用慣行
(2)漁場利用に規制された村落内の階層秩序(オヤッサマ層とヨボシ親子慣行)
(3)村落による資源管理および村落間の漁場紛争
(4)漁撈技術の展開
といった諸点について調査をすすめてきた。
 こうした研究成果は、今後学術雑誌やモノグラフとして公表する予定である。