表題番号:1997A-364 日付:2002/02/25
研究課題自転車駆動中のペダルに掛かる力の作用点の測定システムの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学部 教授 鈴木 秀次
研究成果概要
今回我々は、3軸方向の踏力と左右前後に移動する力の作用点(Center of Pressure: C.O.P.)の測定を可能とするペダル踏力測定装置を新しく設計・製作した。フォースペダルは本体をアルミで、軸は鋼材を使用した。表面硬化のためとペダル軸硬化のため、それぞれアルマイト処理と熱処理を施した。センサーには、水晶クオーツを4個取り付けた。出力はX・Y軸成分を合成した後、8軸成分に変換し、接続ケーブルで8chチャージアンプに通した後、パソコンにデータを取り込んだ。フォースペダルから得られるデータは、ペダル踏面に対する鉛直方向成分(Fz)、水平前後方向成分(Fy)、水平左右方向成分(Fx)の力、そして C.O.P.とトルクTz(自由モーメント)であった。
 本システムを用いて、2名の被験者に回転数の異なる一定仕事率(125 w)のペダリング運動を行わせ C.O.P.を定量的に測定したところ、すべての条件において踏み込み局面のC.O.P.は内側から外側に移動し、その移動距離は2 cm程度であった。踏み込み局面におけるC.O.P.のX軸座標と膝傾斜角度の関係をみたところ、60 rpm(2.1 kp)、38 rpm(3.3 kp)の条件下では、C.O.P.の外側への移動と膝傾斜角度の外側への傾斜、つまり膝の外反を示す数値の増減が同じ傾向にあることがわかった。一方、低回転・高負荷条件下(25 rpm・5.0 kp)では同じ傾向がみられず、この原因が踏み込み局面での足関節の圧迫によっておこる足部の回内に起因することが示唆された。
 以上、今回作製の装置で、正確なC.O.P.と、3軸方向の合成によって描くペダル踏力のベクトルとを対応させながら、さらにペダリング時のキネマティックスを同時に調べることによって自転車駆動中における下肢の機能についてこれまで以上に詳細に解明することが可能となった。
研究成果の発表
発表年月:1997年6月、早稲田大学大学院人間科学研究科、ヒューマンサイエンスリサーチ
論文題目:自転車ペダリング時の踏力作用点と脚キネマティックスの関係Vol.6、1997(131-138)