表題番号:1997A-362 日付:2002/02/25
研究課題突然変異ラットによる消化管運動ペースメーカーの細胞学的解析
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学部 教授 小室 輝昌
研究成果概要
本研究では、ペースメーカーとの密接な関係が報告されているc-kit receptorに注目し、消化管運動ペースメーカーとして提唱されているカハールの介在細胞(Interstitial Cells of Cajal; ICC)の細胞学的解析を目的とした。材料としてはc-kit遺伝子に突然変異をもち、消化管運動に異常のあることが知られているWs/Wsラットおよび同腹の正常ラット+/+を用い、消化管各部位におけるc-kit発現細胞の電子顕微鏡的観察による比較、検討を行った。
 その結果、(a)筋層間神経叢のICCは、消化管の部位(胃、小腸、大腸)に拘らず、共通の微細構造(豊富なミトコンドリア、大きなgap-junctionの形成など)によって特徴ずけられることを確認した。また、これらの細胞はWs/Wsラットでは観察されなかった。(b)一方、小腸の深部筋神経叢及び大腸の筋層下神経叢のICCでは、上記の特徴に加え、基底膜、caveolaeを示したが、この細胞はWs/Wsラットでも観察された。以上の観察結果から、ICCは細胞学的に不均一な細胞群からなり、c-kitに対する依存度についても異なる細胞型を含むものと推定した。また筋層間神経叢のICCはペースメーカーとして機能するものと考えられるが、その他の部位のICCについては、更に慎重な検索、考察が必要なものと結論した。
研究成果の発表
1998年
Horiguchi K. and Komuro T.
Ultrastructural characterization of interstitial cells of Cajal in the rat small intestine using control and Ws/Ws mutant rats. Cell Tissue Res. 293, 277-284.