表題番号:1997A-339
日付:2005/03/02
研究課題光学活性シクロヘキサノンのワンポット合成法の開発とその応用
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学部 | 助教授 | 中田 雅久 |
- 研究成果概要
- (E)-1-(4-Methoxybenzyloxy)-4-bromo-2,3-epoxy-3-methylbutane1とt-Butylacetoacetate/NaH, n-BuLiにより発生させたジアニオン2の反応を行ったところ、-40℃では、2はγ位でのみ1と反応し、原料は消失した。その後、その反応を室温に昇温し行ったところ、エステル基のα位での反応が引き続き進行し、閉環前の中間体(y.9%)、閉環体であるシクロヘキサノン誘導体(シス体(y.19%)、トランス体(y.47%))が得られた。この反応をLiClO4存在下で行うと生成物はトランス体のみ(y.89%)となることを見いだした。そこで他のエポキシブロミドを用いた場合についてこのワンポット反応を検討した。
Epibromohydrinと2の反応では、1種類のシクロヘキサン誘導体が56%の収率で得られた。LiCl存在下では収率68%、LiClO4存在下では収率94%となった。
(E)-1-benzyloxy-4-bromo-2,3-epoxylbutaneと2の反応では、対応するシクロヘキサノン誘導体が収率84%(トランス/シス=1/1.6)で得られた。添加剤としてLiClO4を共存させると、トランス/シス=8.4/1(r.t.)、トランス/シス=16.5/1(-10℃)とトランス体の生成が優先した。他の添加剤、ZnCl2、MgBr2、Mg (ClO4)2は無効であった。HMPAを加えた場合は、トランス/シス=1/3.8、また反応時間を長くした場合(72h)は、トランス/シス=1/2.6とシス体の生成が優先することが判明した。
(Z)-1-benzyloxy-4-bromo-2,3-epoxylbutaneと2の反応では、対応するシクロヘキサノン誘導体が収率69%(トランス/シス=1/5.4、反応時間12h)、91%(トランス/シス=1.6/1、反応時間72h)で得られ、反応時間を長くすると反応系中で生成物のepimerizationが進行することが示唆された。
これまでの結果から、このワンポット環化反応ではLiClO4の添加により種々のエポキシブロミド誘導体を用いても高収率で対応するシクロヘキサノン誘導体が得られることが明らかとなった。基質によっては反応系中で生成物のepimerizationが確認されたが、その不斉点が消失する変換反応を組み込むことにより、このワンポット環化反応が光学活性シクロヘキサン誘導体の有力な合成法になり得ることを示すことができた。