表題番号:1997A-338 日付:2002/02/25
研究課題潤滑剤の非線形粘弾性特性がジャーナル軸受の運転安定限界特性に及ぼす影響
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 助教授 富岡 淳
研究成果概要
潤滑剤の諸特性を改善するために多量の高分子重合物を添加した潤滑油は、非線形の粘弾性挙動を示すことが知られている。しかし、ジャーナル軸受によって支持された軸の安定性に関する研究は、潤滑剤としてニュートン流体を用いた場合のみで、そのレオロジ方程式の複雑さから粘弾性流体に対する研究はほとんどなされていない。そこで本研究では、粘弾性流体に対する潤滑方程式の解法として微小振動の過程を用いた線形化手法による解析を提案し、潤滑剤の粘弾性特性がジャーナル軸受の運転安定限界特性に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。
 本研究では、粘弾性モデルとしてばねとダッシュポットが直列に結合されたマックスウェルモデルを用いる。マックスウェルモデルに対するレオロジ方程式と、連続の条件式、および力の釣り合い条件式を連立させることにより、粘弾性流体に対する潤滑方程式を得る。この潤滑方程式を解くために、ジャーナルの微小振動を仮定し、油膜の弾性係数および粘性係数に対応する微分方程式の誘導を行い、これより油膜係数を算出する。この結果をもとに微小振動時の油膜力を求め、ジャーナルの運動方程式と連立させることによってその特性方程式を求め、これを解くことによりジャーナルの運転安定限界特性を求める。
 その結果、潤滑剤の粘弾性特性がジャーナル軸受の安定限界に及ぼす影響として、粘弾性流体ではニュートン流体に比較して、低偏心率では不安定領域が広がり、高偏心率では逆に安定領域が広がるという結論を得た。
研究成果の発表
1998年5月
富岡淳、柴崎健一、折橋健治、林洋次、粘弾性流体で潤滑された有限幅ジャーナル軸受の動特性、平成10年度日本設計工学会春季発表講演会