表題番号:1997A-336 日付:2002/02/25
研究課題重合可能な有機基を持つケイ素アルコキシドからの無機ガラス・有機ポリマーハイブリッドの合成と構造
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 助教授 菅原 義之
研究成果概要
重合可能な有機基を有するオルガノアルコキシシランと有機モノマーを共重合させることにより無機・有機複合材料を合成し、得られた生成物の構造を固体高分解能CP/MAS NMRを用いて検討した。オルガノアルコキシシランとしては3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(CH2=C(CH3)COOCH2CH2 Si(OCH3)3)、共重合させる有機モノマーとしてはメチルメタクリレート(CH2=C(CH3)COOCH3)を用いた。得られた複合材料を固体13C CP/MAS NMRで分析し、その運動性を回転系スピン-格子緩和時間(TH)を測定して評価した。
 まず3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとメチルメタクリレートの二重結合を、開始剤(αα'-アゾビスイソブチロニトリル)を加えたUV照射により開裂させることで共重合させ、ついで塩酸を触媒に用いて加水分解・重縮合反応を行いシロキサン結合を生成させた。また、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルメタクリレートのみを重合させたホモポリマーも作製した。
 3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランのみを用いた場合は、有機基を重合した時点では高い運動性を有した。また、その後のアルコキシル基の加水分解・重縮合反応により運動がかなり制限された。一方3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとメチルメタクリレートの共重合の系では、有機基を重合した時点で3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランのみの系より運動は制限されていたが、ポリメチルメタクリレートのみの系よりは運動性が高かった。また、共重合の系では、シロキサン結合の生成によってTHはほとんど変化しなかった。これらの結果から、THを測定することにより、アモルファスな複合材料の構造に関する知見が得られることが明らかとなった。