表題番号:1997A-329 日付:2002/02/25
研究課題エージェント指向システムによる構造設計に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 山川 宏
研究成果概要
近年、コンピュータのハード・ソフトの両面での性能の向上および急速な低価格化にともない機械構造などの設計の分野においてもコンピュータなどを利用する機会は増えている。今後さらにコンピュータを活用するためには、これまで設計者が経験や勘によって行っていたような領域にまで、その活用領域を広げる必要があろう。そのような領域では、設計の目的は単一ではなく複数存在するいわゆる多目的な問題となる。また、問題の種類も複数の種類の問題が存在する複合領域にまたがる問題となるであろう。そこではそれぞれの目的や領域が競合する場合が多いため、解を決定する際には何らかの調整が必要である。
 本研究では、問題を領域や目的に分割し、それぞれのオブジェクト間はエージェントの情報交換により調整を行って構造設計を行うようなシステムの構築を目指す。
 本年度はその基礎的な研究として、まず、エージェント技術を構造設計に利用する際に生じる問題点、必要になるその他の技術などの整理を行った。その結果、いくつかの点が明らかになった。すなわち、エージェントを利用して設計を行わせる前段階として、複数の解候補が必要であること、その設計段階では次のエージェントによる決定段階のためにも分散並列化可能なアルゴリズムを採用することが有効であること、ネットワーク上に置いてエージェント間の情報交換を行わせるようなシステムを構築することが有効であること、などである。これらの結果から、まず、複数の解候補を作成できるようなシステムの構築を行った。これらは、従来型の多目的最適化アルゴリズムを利用したものだけでなく、遺伝的アルゴリズムによる解候補の探索システムの構築や構造の形状と位相決定問題のみに対応するものなどを含んでいる。
 今後は実際にエージェントが情報を交換しながら作成した解候補の中から構造を決定できるようなシステムを構築していく予定である。
研究成果の発表
1)98.9 廣安、山川、“遺伝的アルゴリズムを利用した制約付最適化問題に関する研究”、情報処理学会第55回全国大会講演論文集、1、pp. 263
2)98.9 廣安、山川、“遺伝的アルゴリズムを利用した多様な解候補探索システムの構築”、情報処理学会第55回全国大会講演論文集、1、pp. 265
3)98.11 廣安、山川、“ファジイ関数を設計変数とした新しい最適化に関する研究”、日本機械学会第7回設計工学・システム部門講演会講演論文集、120B