表題番号:1997A-316 日付:2002/02/25
研究課題外部磁場中のGinzburg-Landau方程式の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 堤 正義
研究成果概要
磁場の中にある超伝導体のモデルとして知られているGinzburg-Landau方程式系及びその時間発展系は、1960年代から提唱されているが、3次元での数学的解析的研究は1980年代後半から、定常問題に対して始まった。
 この定常問題ではパラメータと外部磁場の強さによって解の振舞いが劇的に変化することが期待されているが、その方向での理論的研究は現在ほとんどなされていない。本研究の目的の一つは、この会の振舞に関する問題を理論、数値解析の両面から考察し超伝導のモデルを改良しそれを解析することである。
 本研究年度では、博士課程在学中の笠井、大石、石渡らと共に、定常状態の考察としてMeissner効果の数学的解析を考えた。Meissner効果は超伝導の特有の性質であり、物理的にはLondon方程式と言われる近似方程式から説明されている。しかし、Ginzburg-Landau方程式とLondon方程式の関係は数学的に厳密な意味では解析されておらず、また、Ginzburg-Landau方程式の数値シミュレーションでは、実験的に見られる侵入長よりオーダーがはるかに大きい。そこで、Meissner効果を巨視的に満たすような拘束条件つきのエネルギー汎関数の最小化問題を、ペネルティー法を用いて調べ、自明解でない解の存在定理を得た。
 次に、笠井と時間依存のGinzburg-Landau方程式とMaxwell方程式の連立方程式の初期値・境界値問題の研究を行ない、その弱解及びその強解の存在定理及び強解の一意性定理を得た。これらの結果の多くは、初めて確立されたものであるが、その一部は従来知られていた結果を著しく改良したものにもなっている。さらに、それらを非線形半群理論の枠組で扱い、存在定理に関してより精緻な結果を得た。
研究成果の発表
1997年
The Meissner effect and the Ginzburg-Landau equations in the presence of an applied magnetic field, J. Math. Phys. 38(1997), 3046-3054
1998年
The time dependent Ginzburg-Landau Maxwell Equations, to appear in Nonlinear Analysis, T. M. A.