表題番号:1997A-310
日付:2002/02/25
研究課題5次元Yang-Mills-Higgs場と様々な位相不変量
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学部 | 教授 | 郡 敏昭 |
- 研究成果概要
- 1.ホプフ・ファイバーS7→S4をBPSTインスタントンにより解釈し、Diracモノポールとの類似を具体的に写像を式で記述して示した。次に、射影平面P2(C)上のSU(2)主束にともなうインスタントンを具体的に式を与えて構成した。
3次元空間R3の上のSU(2)ヤン・ミルズ・ヒグス理論と自発的対称性の破れによるディラックモノポールの出現は良く知られている。これを高次元化する問題がこの特定課題研究の目的であるが、筆者は5次元空間R5の上のSU(3)ヤン・ミルズ・ヒグス理論を調べ、自発的な対称性のやぶれU(1)× SU(2)とそれにともなう不変量をひとつ見いだした。この部分SU(2)束としてBPSTインスタントンが埋め込まれてモノポールの役割をしていることを示した。結果については吟味・検討中である。
2.筆者は、この特定課題研究と平行して、ゲージ項を持つDirac作用素の境界条件と指数について次の結果を証明し、論文として投稿中である。まず、4次元球面上のベクトルポテンシャルで静電的なものの全体は、赤道の3次元球面上の(幾何的)Dirac作用素の境界条件の全体のつくる無限次元グラスマニアンの中に写像されることを示した。その上で次の3種の指数が等しくなることを証明した。
(1) 4次元球面上のゲージ項をもつDirac作用素の指数、(2)4次元半球面上で、同じDirac作用素に、赤道上でAtiyah-Patodi-Singer境界条件を課したときの指数、(3)4次元半球面上の幾何の指数。(1)、(2)が等しいことは知られていたと思ってよいので、(3)が重要である。これにより二宮・タンの定理を精密化した。
3.このほかにホプフ・ファイバーS7→S4の束写像が調和振動子の軌道により与えられることを、示すことができそうである。