表題番号:1997A-309 日付:2002/02/25
研究課題ダイヤモンド電界効果型トランジスタによる耐環境バイオセンサ
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 川原田 洋
研究成果概要
1<_イヤモンドヘテロエピタキシャル成長層でのMESFETヘテロエピタキシャル成長層上に金属半導体電界効果トランジスタ(MESFET)を作成した。ゲート長5μmで相互コンダクタンス7-8mS/mmと同ゲート長のダイヤモンドホモエピタキシャル成長層やシリコンMOSFETと同等レベルであり、これにより感度の高いイオン感応性FET(ISFET)が作成される可能性が得られた。
2.デバイスシミュレーションによるダイヤモンドFETの動作解析
 ドリフト・拡散モデルによるFETシミュレーションにより、表面p型伝導層のアクセプター分布が1nm以下の拡散長を有する極めて浅いものであることが理解され、イオン感応性の高いチャネル構造になっていることがわかった。
3.多結晶層でのMOSFET
 表面研磨により平坦化された多結晶ダイヤモンド表面におけるp型表面伝導層をチャネルとして、ゲート長8μmで相互コンダクタンス1mS/mmが得られている。この値はゲート幅を大きく取れるセンサーには十分なトランジスタ性能であり、大型ウェーハが得られる安価な多結晶ダイヤモンド基板において、使い捨てが要求されるバイオセンサーに必要なFETが作製可能なことが示され、工業化へのよい見通しを得ることができた。
4.ダイヤモンド表面上でのISFETの製作
 ダイヤモンド表面p型伝導層を使用したISFET構造作製のためのプロセス技術を検討した。ここで、重要なのはイオン感応膜となる絶縁層をダイヤモンド表面の水素終端構造を維持したまま作製する成膜技術である。現在、MOSFET作製にはSiOの真空蒸着によるSiOx膜を利用しているが、ボイド等の存在により、液体の浸透に対する稠密性が不十分であり、稠密性の高い感応膜として、還元性雰囲気でのプラズマ・シリコンナイトライド膜あるいは炭化水素膜を検討している。
研究成果の発表
1) 発表年月日 98年4月、発行所 米国物理学会、発表学会誌名 Appl. Phys. Lett.、論文題目“Surface Morphology and Surface p-Channel Field Effect Transistor on the Heteroepitaxial Diamond Deposited on Inclined β-SiC(001) Surfaces”( H.Kawarada, C.Wild, N.Herres, P.Koidl, Y.Mizuochi, A.Hokazono, and H.Nagasawa, Appl. Phys. Lett. 72 (1998) 1878)
2) 発表年月日 98年2月、発行所 応用物理学会、発表学会誌名 応用物理 論文題目“ダイヤモンド電界効果トランジスタの現状と将来”(川原田洋, 応用物理  67 (1998) 128.)
3) 発表年月日 98年8月(予定)、発行所 Springer-Verlag、著書名“Low Pressure Synthetic Diamond: Manufacturing and Applications, Chapter 8:Hetero-Epitaxy and Highly Oriented Diamond Deposition”