表題番号:1997A-308 日付:2002/02/25
研究課題二重管式同軸線路形マイクロ波プラズマCVD装置における新しい光子材料の作成の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 加藤 勇
研究成果概要
我々は二重管式同軸線路形マイクロ波プラズマCVD装置を用いて、イオン衝撃が水素化アモルファスシリコン膜に与える影響について検討してきており、イオン衝撃効果には、イオンが膜に衝突して、膜表面原子の格子振動を励起する膜表面加熱効果と、水素イオンが膜と結合したり、Si系イオン以外のイオンがドープされたりするなどのイオン打ち込み効果があることを見出してきている。
 ここで、基板温度(Ts)を室温とした場合の水素化アモルファスシリコン膜のシース電圧(Vsh)依存性と、イオン衝撃をなくした状態、すなわちVsh=0Vにおける水素化アモルファスシリコン膜のTs依存性を測定している。Vsh依存性は膜表面加熱効果と、イオン打ち込み効果の2つの効果を含んでいる。また、Ts依存性のグラフとは軸が異なっているために、単純に差をとることができない。そこで、膜表面加熱効果のみの影響を受けると思われるSi含有量のグラフから両者のスケールを調整し、軸あわせを行った。その結果、Ts=-2.34× Vsh+28という関係式を導くことができた。他の膜質に関してもこの関係式を用いて、同様にスケールを調整することにより、イオン衝撃効果における膜表面加熱効果とイオン打ち込み効果を分離することができた。
 一般に、ダングリングボンド密度を低減させるためには、基板を約230℃まで加熱する必要があると言われている。これはセルフバイアスがかかり、イオン衝撃があるためであり、Vsh=0Vとし、イオン衝撃をなくせば、イオン打ち込み効果がなくなり、膜構造が破壊されないので、より低温(約150℃)でダングリングボンド密度の少ない膜が作成できることがわかった。
研究成果の発表
1998年1月
第15回プラズマプロセシング研究会
荻原、磐田、加藤:a-Si:H膜成長中のイオン衝撃効果
1998年1月
第15回プラズマプロセシング研究会
飯塚、臼田、加藤:縦磁界印加MPCVDによるH2/SiH4プラズマを用いたa-Si:H膜の作製
1998年1月
第15回プラズマプロセシング研究会
越地、渡部、加藤:二重管式同軸線路形MPCVD装置を用いて作製したSi系発光材料
1997年11月
電子情報通信学会論文誌 Vol.J80-C-Ⅱ. No.11 pp378-383
加藤勇、山岸俊浩、森田義則、神子太郎:縦磁界印加によるArプラズマの安定化
Jpn.J.Appl.Phys Vol.J80-C-Ⅱ. No.11pp6711-6713
O. P. AGNIHOTORI, R. TYAGI, 加藤勇:Silicon Oxynitride Waveguides for Optical Integrated Circuits