表題番号:1997A-304 日付:2002/02/25
研究課題血液を用いた機械加工表面性状の定量評価の試み
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 梅津 光生
研究成果概要
体外循環回路などの人工的な管路内での赤血球破壊(溶血)の力学的要因を分析し、その破壊メカニズムを解明する研究より各種形状の狭窄管路内の溶血を比較することで、溶血の原因が必ずしも剪断力のみによるものではないとの推論を得るに至っている。そこで、本研究では狭窄管の表面粗さに注目して、実際に新鮮血を用いて溶血と表面粗さの関係を求める実験を行い、それと並行して数値シミュレーションによる定常流解析を進めた。実験には溶血実験評価用体外循環回路として用いているものを流用し、狭窄部の表面粗さと溶血の関係を予測するために2つの実験を行った。
(1) 表面粗さの溶血に及ぼす影響を調べる実験
 アクリル製の基準用の狭窄管は表面粗さRa=1.35μmとしていたので、同一形状で新たにRa=0.54μm、Ra=2.00μmの2種の狭窄管を作製し、3者間での溶血の差異を調べた。循環時間6時間までの溶血量は、表面がなめらかなものほど溶血は少ないことが確認できた。
(2) 狭窄間のどの部分の表面粗さが溶血に大きな影響を及ぼすかを調べる実験
 15mmの狭窄部の一部の表面のみRa=1.35μm、他は0.54μmとする4種の狭窄管を作り、実験を行った結果、狭窄部入り口付近での表面粗さが溶血に大きく影響することが確認できた。狭窄部入り口付近において溶血量が多いのは、狭窄部での剥離及び再付着という流れの変化が激しいからと考えられる。そこで、剥離点、再付着点付近の表面粗さが管内の流れに与える影響を調べる目的で有限要素法による数値計算を行ったところ、計算と実験結果のよい一致を見た。
1998.10日本ライフサポート学会・発表(予定)
1998.10日本人工臓器学会・発表(予定)