表題番号：1997A-301
日付：2002/02/25
研究課題表面増強光反応による有機超薄膜作成に関する研究
| 研究者所属（当時） | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| （代表者） | 理工学部 | 教授 | 伊藤 紘一 |
- 研究成果概要
- ジアセチレン誘導体である10, 12-pentacosadiynoic acid（以下 ＤＡ）のLangmuir-Blodgett膜を島状銀蒸着膜（膜厚６nm）と平滑銀蒸着膜（膜厚 100nm）に作製して、それらの紫外光照射による重合過程を表面増感共鳴ラマン（ＳＥＲＲＳ）分光法と共鳴ラマン（ＲＲＳ）分光法を用いて調べた。その結果、(i)ＤＡ単分子膜（Ｌ＝1）においても、ＤＡ（Ｌ≧3）累積膜の場合と同様に、重合にともない、生成ポリジアセチレン（以下ＰＤＡ）の規則―不規則転移が見られること、(ii)ＳＥＲＳ活性な島状銀蒸着膜上での光重合速度が、ＳＥＲＳ不活性な平滑銀蒸着膜上に比して著しく増大することを見出した。以前にわれわれは、ＤＡ累積膜の光重合過程について、共役鎖長の長いＰＤＡの規則構造が重合の進行とともに不安定になって共役鎖長の短い不規則構造に転移する機構を提案したが、(i)は、この規則―不規則転移が２次元的な現象であることを証明した。また、(ii)の原因を明らかにするために、銀蒸着膜の厚さやスペーサーＬＢ膜を挿入して蒸着膜とＤＡ―ＬＢ膜間距離を変化させつつ光重合速度を調べた。その結果、光重合速度の増大が、島状銀蒸着膜における表面プラズモン励起を介したまったく新しい表面増感機構によることを明らかにした。
研究成果の発表
1997年
K.Itoh, M.Yamamoto, N.Furuyama and A.Saito, Mikrochim. Acta, 14，33. “Infrared reflection absorption spectroscopic study on photochemical processes in langmuir-Blodgett films.”
1997年
Y. Misono, Y.Okata, T.Morikawa and K. Itoh, J. Electroanal. Chem., 436， 203.“Resonance Raman and absorption spectroscopic studies on the electrochemical oxidation processes of 3, 3', 5, 5'-tetramethylbenzidine.”
1998年
E.Shirai, Y.Urai and K.Itoh, J.Phys. Chem. 102，3765. Surface-enhanced photopolymerization of a diacetylene derivative in Langmuir-Blodgett films on a silver island film.