表題番号:1997A-299 日付:2004/03/04
研究課題孔隙構造に基づく岩石特性のモデル化
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 在原 典男
研究成果概要
岩石内の多相流を記述する相対浸透率および毛細管圧力は、通常コアサンプルを用いて測定されるが、測定に時間を要すると共に、測定結果も必ずしも信頼できるものではない。特に、ガス油水の三相流の相対浸透率は実験で求めることはできず、ガス油および油水二相流の相対浸透率を組み合わせて近似している。このような岩石特性の不確定性は油層シミュレーションによる予測の精度に大きく影響する。相対浸透率および毛細管圧力は孔隙内の物理現象を平均化して表わすパラメータである。従って、孔隙の形態と孔隙を連結するネットワークをモデル化することにより、これらのパラメータを求めることが可能である。
 本研究では、炭酸塩岩を対象として孔隙率、絶対浸透率、構成鉱物、孔隙サイズ分布などの基礎的特性と、毛細管圧力および相対浸透率を実験により測定し、ネットワークモデルによるシミュレーション結果との比較を行うことにより、ネットワークモデルの改良を目指した。モデルの主要なパラメータは孔隙断面の形状、孔隙本体(pore body)と孔隙喉部(pore throat)の直径の比(アスペクト比)、および孔隙喉部の径分布である。アスペクト比が1から1.4ではbypassによるトラップが、また1.5以上の場合はsnap-offによるトラップが起き、ともに残留油飽和率を増加させ、その時の水相対浸透率を減少させる。アスペクト比が1から1.4の場合に、孔隙喉部の径分布の幅を広くすると、 bypassからsnap-offによるトラップが起き、さらに残留油飽和率を増加させる。孔隙断面の形状は油水両相の相対浸透率に大きく影響するが、流体の置換自体は変わらない。