表題番号:1997A-269 日付:2002/02/25
研究課題内蒙古現代牧畜社会の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学部 教授 吉田 順一
研究成果概要
文献類の調査・収集については、日本の第二次大戦敗戦時に満洲国内各地図書館等および満洲国外の各地図書館等に残された日文図書・文書類の目録が、近年中国から相次いで刊行されているので、それらのいくつか、例えば『遼寧省档案館蔵日文資料目録』等を入手して調査・検討し、国内で未見の文献類が多数存在していることを確認した。今後それらを調査し読むことが不可欠である。だがこのことは中国の事情によって、相当困難な作業となろう。また本学中央図書館蔵のマイクロフィルムを調査し、一定の成果をあげた。夏に北京と内モンゴルの書店で関係文献を購入し、これまでの購入分と合せて、革命後中国で刊行された内モンゴル牧畜関係の文献のかなりのものが入手できたと考えている。
 現地調査については、8月20日~9月14日に中国に出張し、内蒙古自治区の哲里木盟、興安盟、呼倫貝爾盟の各地をまわった。哲里木盟と興安盟に行ったのは、半牧半農地域やほぼ農民化したモンゴル族の家も調査する必要があるとの判断による。だが最近の中国側の厳しい姿勢によって、実質的な調査はきわめて困難であった。ただし1996年1月および11月に発送した質問および1997年夏に人に託した質問に対する回答がかなり寄せられたので、それらを読む作業を相当時間行った。その結果、これまでの調査結果と合せて、今後一定の補充調査をすれば、純牧畜地帯と半農半牧地帯の内モンゴルの牧畜および牧畜社会を分析・研究することは十分に可能な段階に到達したと判断している。
 今年度までの調査によって、内モンゴルの牧畜関係の文献調査や現地調査が一定の段階に達した。今後残されているのは、調査・収集した資料の整理・検討を本格的に行うこと、中国内の日文資料の調査と複写類の入手に努めること、1998年度に内モンゴルの状況と比較するためにモンゴル国側の状況を調査することである。
研究成果の発表:1998年2月、早稲田大学大学院文学研究科、『早稲田大学大学院文学研究科紀要』第43冊第4分冊、「興安四省実態調査について-非開放蒙地の調査を中心に-」