表題番号:1997A-253 日付:2006/12/27
研究課題日本語と英語の不定表現の形式意味論と語用論
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学部 教授 原田 康也
研究成果概要
本研究では、ある語彙的要素は、それに固有の<意味>とさまざまな文脈・言語外的状況との相互作用により、それぞれに応じた<解釈>を得るという立場から、日本語の「不定表現」の形式意味論的な取り扱いと、その語用論的解釈について研究を
進めた。
 日本語の形式意味論に関する研究については、日本語研究教育センター非常勤講師本多久美子氏とのここ数年にわたる協同作業により、関連するいくつかの項目に関して実際に文献に現れた大量の例文から問題点を抽出することができた。その中から、focusの問題とも関連して、自然言語の意味論的表示における変項の取り扱いが大きな課題として浮上してきた。
 この問題との関わりで、「ばかり」をともなう表現に見られるさまざまな<解釈>について、<状況>と<解釈>との関わりという観点から、若干の考察と提案を試みた。また、これまでの研究ではもっぱら<全称>的解釈を中心に論じられてきた不定語をともなう表現について、<存在>的解釈が得られる場合があることを指摘し、状況と解釈の関わりについて考察した。現在、この問題をさらに進めて、<不定語+でも>の量化解釈における曖昧性が何に起因するか検討を進めている。