表題番号:1997A-194 日付:2002/02/25
研究課題鉄棒運動におけるパワーフローとパフォーマンスとの関係
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学部 専任講師 土屋 純
研究成果概要
スポーツ運動に代表されるような全身運動では、関節で発揮されるパワーの伝達がなされる。関節間のパワーフローが有効になされれば、効率のよい動きが実現し、スポーツパフォーマンスを向上させることが可能となる。したがって、学習者の関節パワーフローのようすとパフォーマンスとの関連を明らかにすることは、運動学習や指導の場において有効な情報となると思われる。本研究では、こうした観点から、運動中に身体セグメント間で伝達されるパワーの動態を明らかにし、それとパフォーマンスとの関連を検討した。具体的な身体運動には、比較的単純で計算のしやすい鉄棒運動を用いた。数名の体操選手の実施する手放し技の実施を、鉄棒の側方に設置したビデオカメラによって撮影した。このビデオテープから、身体の計測点の二次元座標値を求め、これによって身体を8つのセグメントに分け、遠位関節から運動方程式を解くことによって、関節力、関節トルクを求め、さらにパワーの流れを算出した。スポーツパフォーマンスの良否をあらわす数値としては、離手後の身体重心の高さを算出した。その結果、股関節から肩関節へのパワーフローに大きなロスのない実施ほど、離手後の身体重心高が高い傾向が伺え、運動中の学習者の関節パワーフローのようすとパフォーマンスとは関連がみられることが示唆された。ただし、コンピュータプログラムの作成に時間がかかり、多くの被験者の実施を分析するに至らなかったので、継続してこの研究を行って行く予定である。