表題番号:1997A-153 日付:2008/02/14
研究課題有限要素法を用いたリニアモーターの性能向上に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 助手 紙屋 雄史
研究成果概要
本研究は、搬送の高速性・保守の容易性などの特長を有し、次世代の運搬装置としての実用化が期待されているリニアモータの性能向上を目的としている。本研究の特色としては、近年の計算機の発達によって実用化されつつある電磁界数値解析技術を用いることで、従来の研究では得ることの出来なかった詳細な情報をもとに機器の性能評価を行っている点があげられる。今年度の研究は大きく3つに分類でき、以下に各研究の成果をまとめる。
研究1)短二次リニアモータにおける新たなブロック給電法の提案とその実用化
 短二次リニアモータにおいては消費電力の観点から通常ブロック給電法が採用されるが、昨年度までの研究で、従来のセクション毎におこなうブロック給電法に比べて励磁区間を格段に短縮できる新たな給電方式を提案し、種々の検討をおこなってきた。本年度は、提案方式におけるシフト回数を加速度の過大な脈動を生じない程度に減じることで、機器の簡素化・製作コスト削減を図り、さらなる実用化を目指した。
研究2)リニア同期モータの損失評価に関する一考察
 電気機器の特性解析は、種々の損失を考慮することではじめて実機に即したものとなる。本研究では、永久磁石型リニア同期モータを解析モデルとして、鉄損(うず電流損)・銅損・機械損を解析結果に組み込むことでそれらの損失を考慮する新たな手法を展開した。
研究3)短一次巻線型リニア誘導モータにおける一次・二次コイル結線法の検討
 本研究では、短一次リニアモータへの巻線型二次方式の部分的な採用を提案し、巻線区間および塊状導体区間、さらに境界部での良好な走行を可能にする一次・二次コイル結線法を明らかにした。検討結果より、二次コイルには特性・構造の簡単さの点から直列結線が、一次コイルには二次巻線区間、二次塊状区間、さらに両者の境界において良好な特性を示す並列結線を採用することが妥当であるという結論を得た。