表題番号:1997A-143 日付:2004/03/09
研究課題各種混和材料を用いたセメントペーストのレオロジー的性質に関する実験的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 専任講師 輿石 直幸
研究成果概要
フレッシュコンクリートの流動にレオロジー理論を適用し、解析的にそのワーカビリティーを予測する技術が近年急速に発展している。しかし、この解析に必要なセメントペーストあるいはモルタルのレオロジー特性の測定に関しては、装置特性や測定条件などの影響のため、測定値に誤差が大きいのが現状である。
 本研究では、二重円筒型回転粘度計によってレオロジー特性を測定するための基礎的検討を行うとともに、高強度、高流動あるいは繊維補強などのハイパフォーマンスコンクリート用混和材料として注目されているシリカフュームと高性能減水剤の調合比を変えて測定を行い、レオロジー特性に及ぼす影響を考察した。
 CCDカメラを用いて二重円筒内における試料の流速分布を実測したところ、試料の流速分布は二次曲線で近似され、また、セメントペーストの流動はコンシステンシー曲線の性状から概ねビンガムモデルでの近似が可能であることがわかった。しかし、粘性の高いセメントペーストほど、流動しない試料の範囲が広く、かつ円筒表面での試料の滑りが顕著であり、このため、流速分布を考慮せずに求めた見掛けのレオロジー定数は、特に塑性粘度において過小に測定されることが明らかとなった。
 調合の影響については、シリカフュームの置換率が大きい調合では、水結合材比を増加に伴う塑性粘度の減少が顕著であった。一方、置換率が小さい調合では、水結合材比の増加が降伏値の低減に効果的であった。置換率が比較的小さい範囲では、置換率の増加に伴う降伏値の増大が顕著であり、置換率が大きい範囲では、置換率の増大に伴う塑性粘度の増大が特に著しかった。また、高性能減水剤の添加率の増加は、塑性粘度よりも、むしろ降伏値の低減に効果的であった。