表題番号:1997A-140 日付:2002/02/25
研究課題変分問題およびその非線型微分方程式への応用
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 助教授 田中 和永
研究成果概要
研究成果は(ⅰ)非線型楕円型方程式に関する存在結果および(ⅱ)ハミルトン系に対する周期軌道の存在問題に関する結果の2つに大別される。
 まず非線型楕円型方程式に関してはRNにおけるscaler field equation -Δu+V(x)u=up, u∈H1(RN)の生値解について考察した。ここでは、ポテンシャルV(x)がxについて周期的な場合を主な対象とした。このような場合、ground stateと呼ばれるenergyが最小の解ω0 (x)が存在することはconcentration-compactness method等によりよく知られている。本研究では、より高いenergy levelの生値解の存在について考察し、ω0 (x)の重ね合わせた形の解u(x)~∑Nj=1ω0 (x-lj),(│lI-lj│>>1)の存在をポテンシャルV(x)に対する適当な条件の下で示した。非線型方程式に対する解の重ね合わせの方法はごく最近変分的に見直され、注目を集めているが、その存在のための条件は具体的にcheckしにくいものであった。ここではそのような具体例を初めて与えている。
 次にハミルトン系の周期解に関しては、ポテンシャルV(q)が特異性V(q)=-1/│q│aをもつ場合に与えられたtotal energy Hをもつ周期解の存在について研究を行った。
 この問題においては、特異性の指数αが重要な役割を果たすことがわかっている。0<α<2のときはH<0に対して、α>2のときはH>0に対してのみ解の存在が期待でき、それぞれの場合に研究が行われている。ここではα=2の場合を考え、H=0に対する周期解の存在を考察した。α>2あるいは0<α<2の場合と異なり、α=2の場合は摂動に対して極めてsensitiveであるが周期解の存在を保証する十分広い摂動のクラスを求めるのに成功した。また対応する状況下でnon-compact Riemann多様体上の閉測地線の存在を議論した。
研究成果の発表
1998 (with A. Amrosetti) On Keplerian N-body type problems, in“Nonlinear Analysis and continuum mechanics”(G. Battazo, G.P. Galdi, E. Lanconelli, P. Pacci ed.) Springer, 1998, 15-25.
1997 Multiple positive solutions for some nonlinear elliptic systems, Topological Methods in Nonlinear Analysis, 10 (1997), 15-45.