表題番号:1997A-138 日付:2002/02/25
研究課題低比速度遠心ブロワの発生騒音評価法・低減化法に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 助教授 太田 有
研究成果概要
産業用に広く利用されている低比速度の遠心ブロワは、翼通過に伴う発生騒音成分が極めて高い音圧レベル値を示すと共に、その周波数が可聴域に存在することから低減化手法の提案が強く求められているのが現状である。本研究では、特に高い音圧レベルを示す翼通過周波数(BPF)1次および2次成分に着目し、舌部表面上に誘起される周期的な圧力変動に対して詳細な相関解析を施すことにより、外部騒音に影響を与える有効音源領域を確定し、その音源領域に能動制御法を適用することで、流体機械騒音の有効な低減化を指向するものである。舌部表面上の圧力変動計測結果より、BPF1次成分はその発生領域がほぼ舌部頂点近傍に限定できること、また、2次成分は舌部下面に不規則に分布している状況を定量的に示した。特に、2次成分の分布状況は、ブロワの運転条件により大きく異なることが確認され、回転数および流量の変化が音源領域に大きく影響を与えていることを明らかにした。相関解析によって明らかになった有効音源領域に、ピエゾ振動子を用いた変位制御を行うことで、BPF騒音レベルが著しく低減できることを示した。この低減量は、20から25デシベルにも及び、スペクトラムに現れる離散周波数騒音は、この能動制御によって完全に広帯域騒音レベルに埋没するまでに低減できた。この能動制御法により、相関解析で求めた有効音源領域の信頼性を確認すると共に、産業用ブロワの騒音低減に関して、比較的簡単な手法により著しい低減量が得られる新しい手法を提案することができた。今後の研究課題として、回転数や流量の変化と共にBPF2次成分の音源領域が大きく影響を受ける現象に着目し、羽根車吐出流の詳細な計測を行うことで、舌部表面上で組織化される圧力変動の生成機構を明らかにすることを検討中である。
研究成果の発表:日本機械学会流体工学部門講演会、1998年7月、信州大学、において発表