表題番号:1997A-134 日付:2002/02/25
研究課題同定手法を応用した制震構造のための低次元化モデルの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 西谷 章
研究成果概要
1989年に世界初のアクティブ制震建築物が誕生して以来、アクティブ制震構造は、高層建築を中心にその採用が続いている。制震構造の対象となる建築・土木構造物は、従来の制御工学分野が取り扱っていた対象と比べてきわめて巨大であり、動的挙動の自由度が非常に大きいという特色を持っている。
 このような意味から、建築・土木分野にふさわしい、制御対象の低次元化モデルの構築法が望まれている。現在、アクティブ制震構造物では、構造物をモード分解し、低次元化を行うことが一般的に行われている。構造物の応答をいくつかの低次モードによって近似し、各モードの時間関数をもとにしたフィードバックから制御力の決定を行っている。この手法では、応答の計測位置等の影響により制震構造システムが不安定に陥ったり、フィードバックする応答の誤差が大きい、等の問題がある。これに対して本研究では、数年来研究している同定手法を応用した低次元化モデル手法を提案している。提案する手法では低次元化モデルの応答をそのままフィードバックして制御を行うことができる。この妥当性、AMDを用いたケースについて考察し、シミュレーションと実験を行って確認した。
 本研究で得られた成果により、きわめて多自由度の制御対象となりやすい建築物に対して、取り扱いの比較的容易で、制御効率の点からも望ましい制御対象低次元化モデルを構築することができる。
<研究成果の発表>
1998年6月
“Model Reduction for Active-Control Building Structures”を2WCSC(第2回世界構造制御会議)において発表予定