表題番号:1997A-116 日付:2002/02/25
研究課題企業成長戦略における管理会計の貢献
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学部 助教授 清水 孝
研究成果概要
企業成長戦略における管理会計の貢献は、戦略策定時への貢献および戦略遂行時の貢献に分類することができる。このうち、戦略策定時の貢献は、戦略創発のための媒介となるといった間接的なものとならざるを得ないが、具体的には、競争者の情報を収集して自社と比較したり、自らは産業における価値連鎖分析を実施することが求められる。一方で、戦略遂行時の貢献には、近年様々な業績が報告されている。本研究課題を遂行するに当たり、第1に、主として国外における上記のテーマを取り扱った文献を収集した。収集された文献は、価値連鎖分析、ベンチマーク分析およびバランスト・スコアカードといった内容のものであり、この中から、成長戦略遂行に関する理論を抽出することを試み、論文「因果連鎖を組み込んだマネジメント・コントロール・システムの展開」(『早稲田商学』376号)において、具体的には、KaplanとNortonの議論に基づいて成長戦略遂行の基礎を顧客満足に求め、顧客満足のために企業が遂行すべき内部業務プロセスはどうあるべきかといった縦の因果連鎖を第1に考察した。次いで、顧客満足、内部業務プロセスおよび学習と成長の視点において、それぞれの結果を表す指標とそのドライバーとなる指標の関係を示した横の因果連鎖との複合的関係でとらえるべきことを明らかにした。また、このような因果連鎖は、製造業だけではなくサービス業にも構築されるべきであるが、その因果連鎖は産業特性に依存して異なることになる。論文では、サービス産業の因果連鎖についても詳述している。
 以上のように、企業成長の源泉を顧客満足に求め、これに向かう一切の行動を様々な因果連鎖に組み込んだ管理会計システムの構築を提示した。
研究成果の発表
1998年3月 早稲田商学同攻会 清水孝 『早稲田商学』 「因果連鎖を組み込んだマネジメント・コントロール・システムの展開」-