表題番号:1997A-097 日付:2002/02/25
研究課題権田保之助における「民衆娯楽論」の形成過程に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育学部 助手 坂内 夏子
研究成果概要
本研究は権田保之助における民衆の主体形成に向けての認識、すなわち彼の娯楽研究の意義について解明するためにその娯楽論の展開を方向づけた問題意識とそれに伴う社会教育観の形成について考察することを目的としてきた。研究対象である権田は戦前におけるその娯楽研究に基づいて『民衆娯楽論』(1931)、『国民娯楽の問題』(1941)、『娯楽教育の研究』(1943)等を著しており近代社会教育論者の一人に位置づけられている、権田の娯楽論には“民衆の主体形成への寄与”という研究着手以来の一貫した問題意識があったと思われることから本研究の基本的姿勢は第一に権田の研究過程を一貫した文脈で把握すること、第二に社会教育史研究の立場から権田を研究対象に据えることの意味、すなわち彼の立場でもって社会教育史の構築を試みることにある。具体的には権田における娯楽論構築の意味を追究すると社会教育の問題が浮き彫りになると思われるので、彼の娯楽論の展開とその社会教育観の形成を関連づけて検討する必要が生じるのである。なお権田の娯楽論および社会教育観の特質を浮きぼりにするには近代日本における娯楽論の系譜、社会教育史の中での位置づけをも明らかにする必要があるため、近代娯楽論者がいかなる問題意識で論を構築したのか、社会教育形成過程における娯楽への問題意識等との関連性をも視野に含めて研究を進めていくよう努めた。当初の計画より研究が進められましたことを、「特定課題」の研究助成に対して感謝申し上げます。
研究成果の発表
1998.3 早稲田大学教育総合研究室〈早稲田教育評論〉第12巻第1号
近代日本社会教育における形成機能の一側面―娯楽論を手がかりに―