表題番号:1997A-086 日付:2002/02/25
研究課題Walthierite Huangiteの発見による明礬石系の諸問題
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育学部 教授 堤 貞夫
研究成果概要
明礬石系は長い間(K,Na)3(SO4)2(OH)6と考えられていたが、K、NaのサイトにCa++の存在するminamiiteが群馬県の万座温泉付近で発見されて以来、H3O+、NH4+、Ba++、Ca+端成分の鉱物が次々に発見・記載された。それ故、明礬石系がどのような固溶体系を形作っているのか現在のところ明かでない。筆者はこれまでに、約50種の国内外産の明礬石(K-Na系)の加熱時の挙動を検討してきたが、新たな知見に基づく再検討の必要に迫られることになった。とりわけCa端成分のhuangiteが発見されたことにより、これまで研究対象として実験に供していた明礬石(K、Na系)試料中のCaの含有量について再実験を余儀なくされた。また、この研究にあたっては、明礬石系を明らかにする目的で、化学組成の異なるさらに多くの明礬石の試料を国内外の産地から求め実験に供さねばならない。このような研究目的を達成するために、これまでに手許にある明礬石試料のEPMAによる再分析を開始し既に数個の分析を完了した。同時にminamiiteを産出する奥万座で試料を採取して、主としてEPMA, XRDによる再検討を行ったところこれまで均一の成分からなると考えられていたminamiiteが化学組成の異なる相による累帯構造を成しているという新しい知見を得た。また、静岡県賀茂郡の宇久須鉱山において明礬石の産状の調査を行うと共に試料の採取を行った。その結果、宇久須鉱山からもまた、Ca含有の明礬石(huangite)を産出することが明らかとなり、万座温泉産のものとは異なる化学組成と累帯配列をすることが明らかとなった。
研究成果の発表
1998年5月 地球惑星科学関連学会1998年合同大会
宇久須鉱山産及び万座温泉産Ca含有alunite系鉱物の累帯構造